近ごろ都に流行るもの

“持たない自由”をアプリが仲介 原点は「あふれるモノ」への危機感 (1/2ページ)

 モノがあふれるわが家に頭を抱え、「所有」することが喜びではなく負担に思える現代。「買うより借りる」人たちが、ひそかに増えている。「必要なときだけ借りて、用が済んだら返す」「お試しに借りて、本当に気に入ったら買う」などと考える借り手。逆に「普段使わないけど捨てられないモノを、誰かに貸して小金を…」なんて思う貸し手。そんな思惑、見知らぬ個人同士で成立する仕組みが、スマートフォンのアプリを通じて広がっている。(重松明子)

 「台風19号でベランダや庭が泥だらけの人に ケルヒャー高圧洗浄機 週4800円」。貸し借りマッチングアプリ「アリススタイル」を開くと、タイムリーな貸し出し情報が目に飛び込んできた。昨年10月末のスタートから、1年で約15万人がダウンロードしている。

 「この2、3カ月で急に伸びた。以前の出品は美容・調理家電に集中していたが、工具、ドローン、天体望遠鏡、クリスマスツリー、ドレスなど、普段使わないけれど場所を取るものが幅広く貸し出されています」と、アリススタイルを展開する「ピーステックラボ」(東京都渋谷区)の村本理恵子社長(64)。利用者の7割が女性といい、「貸したお金で借りる。新しい消費サイクルを広げていきたい」と期待を込めた。

 都内でソフトウエア開発事業を手がける南中花子(なかこ)さん(30)の1人暮らしの自宅を訪ねると、ベッドに机と椅子と小さな棚だけのスッキリしたワンルーム。「以前はモノがあふれ、必要なときに取り出すのにも時間がかかってイライラしていました」

 今年5月に断捨離し、フリマアプリの「メルカリ」で服や小物などを処分。同時に、アリススタイルを始めた。「メルカリの“貸し借り版”のようなもの。利用に抵抗はなかった」という。

 これまでに2回借りたエアーマッサージャー「レッグリフレ」は買うと3万円以上するが、借りるなら週に2800円。「以前ならすぐに買っていたと思うけど、本当に欲しいのか熟慮する習慣がついた。散らかった部屋に戻りたくないですから」。わずかに手元に残した一眼レフカメラは、「あまり使わない」と、アリススタイルを通じて貸し出しているという。

 アリススタイルの村本社長は、時事通信社で世論分析に携わり、大学や大学院で教授としてマーケティングを教えた後、モバイル向けの会員制映像配信事業を行う「エイベックス通信放送」取締役時代に動画配信サービス「dTV」を立ち上げて300億円規模の事業に成長させた実績を持つ。華々しいキャリアとは対照的に、私生活ではモノを「持たない自由」の実践者だ。

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