新時代のマネー戦略

ムダな保険を選ばない人の思考法 「加入していなければ人生が終わる」 (2/3ページ)

井上信一
井上信一

 ただし余談ですが、人の身体や生命に係るリスクは年齢とともに高まりますので、Aの領域に差し掛かると既に保険料は相当高額になっており保険に入ることは現実的には難しくなります。しかし、往々に健康を害して人ははじめて保険商品を意識するものです(この傾向を保険用語で「逆選択」思考といいます)。

 よって、保険期間中は保険金額の増額をしない限り保険料が上がることはないので、なるべく若い頃や健康なうちに保険に加入するのがベター(つまり保険料の安いDの領域にあるうちに加入する)といえますが、反面では保険料の払込期間が長くなるほど負担総額も増えるので、悩ましいところです 。

8つのリスクをカバーする際の盲点

 家計におけるリスク(想定外の事態)としては、その経済的な影響から、「想定外の事態で収入が大きく減るか途絶する」、あるいは「想定外の事態で多額の出費が発生する」リスクに分けることができます。

 それをさらに細分すると、およそ以下のように整理できます。

 基本的には、この8つのリスクをモレなくムダなくバランスよく備えるのが理想的なのですが、既に公的保険である社会保障や、企業保障等により準備されている額もあるので、それでも不足すると考えられる額が実質的に家計に及ぼす損害額となります。

 例えば、公的年金保険では、要件を満たせば「(1)死亡(遺族年金)」、「(2)就業不能(障害年金)」、「(3)老後(老齢年金)」を保障しますが、「(1)死亡」や「(2)就業不能」については適用要件を満たさず年金がもらえない場合や、もらえても全く十分ではない場合もあります。

 「(5)医療費用」や「(6)介護費用」については公的医療保険や公的介護保険にて、所得水準や年齢に応じ、かかる費用の9割~7割の現物給付(自己負担が1割~3割で済む)を受けられますが、公的保険の対象とはならない費用も多々あり、実際の自己負担額は高額になる可能性もあり得ます。

 雇用保険や労災保険は基本的に会社等にお勤めの方でないと加入できませんし、企業保障等についても就労環境や勤め先によって大きく変わることでしょう。

 また、家族構成や自身のライフステージが現在どの位置にあるのかにより必要度合いや事情は変わってきます。例えば、経済的に扶養すべき家族がいなければ「(1)死亡」への備えは深刻ではありませんが、扶養家族のある場合、自身の「(1)死亡」への備えは何歳になっても 、同時に遺族の「(3)老後」の備えに繋がります。

 働いている間は「(2)就業不能」への備えが「(6)介護費用」への備えと往々に被るので、同時に準備する優先度は低くても差し支えはないともいえます。保障(補償)がいつまで必要なのか、いつから本格的に必要なのか、という観点も忘れずにいたいところです 。

 このようなチェックを踏まえた上で、「滅多には起こらないかもしれないけれどそれが起こったら家計を根底から崩すリスク」から優先して保障(補償)設計を再構築するのが合理的発想といえるでしょう。

 それが何なのかは個々によって異なるやもしれませんが、少なくとも、こうしてリスク面から考えていけば、単体の保険商品ありきで必要か否かを漠然と検討するよりも、はるかに必要度合いの優先順位の根拠が明確になるのではないでしょうか。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus