新時代のマネー戦略

「初の投資で老後資金1000万円」は夢ではない “今すぐつみたてNISA”の底力 (2/3ページ)

岡本典子
岡本典子

 確かに、預貯金は額面金額が減ることはありません。しかし、現在預貯金の利率は0.001~0.02%です。もし手元に1000万円があったとして、利率0.001%の普通預金に20年間預けると、20年後の金額は1000万2000円です。利息は2000円しか付かず、しかもそこから源泉分離課税20.315%を引かれ、最終的1000万1594円にしかなりません。インフレとなれば目減りしますので、1000万円以上の老後資金不足を補うことは困難です。

時間を有効に活用し、定期定額で「積立」が有効

 30代、40代の皆さんが老後資金を必要とするまでには、20年~40年近い「時間」があります。この「時間」を味方につけ、お金に働いてもらい、大きく増やしていく方法を考えてみましょう。

 毎月の給与で生活し、手元に残った金額を老後資金に回していこうと考えるのでは、なかなか貯めることができません。老後資金を貯めたいと思ったら、給与を使う前に、毎月定額を老後資金形成に積み立て、残りで生活していくというしくみ作りをすることが一番です。生活が大きく膨らまないように、無駄を削っていくことも考慮し、残りの金額内で生活しようという意識変革が大切です。

 さらにその老後資金に積み立てているお金にも複利効果で働いてもらうことで、雪だるま式に大きく増やしていくのです。雪だるまを大きくするには、転がす距離が長くするのが効果的ですが、老後資金形成においても同様で、なるべく若いときから長い期間をかけてコツコツと積み立て、大きくしていくことが肝心です。皆さんにはその時間があるので、そのしくみを理解し、実行していかれることで、老後資金を大きく育てていくことが可能です。

老後資金を育てる基本は「長期・分散・積立」

 上述の「投資は値下がりすると、私のお金が減ってしまうからイヤ」という、この「値下がり」ですが、老後資金作りを行う長期間というスパンで考え、「値下がりするときもあるけど、最終的に老後資金として大きく殖やしていければよい」と考えることはできないでしょうか。

 一本調子で上がっていくことはありません。上がったり下がったりを繰り返しながら、そのベクトルが上向きに成長していくのを見守っていくのが投資です。長か半かという博打のような投機とは異なります。

 「長期・分散・積立」という考え方が老後資金を育てていく基本です。長い期間(10年以上)をかけて、株式・債券・不動産など国内外の多様な資産に、毎月“コツコツ”と定額を積立購入し、資金を大きく育てていく姿勢です。言い換えれば、「ボチボチ、バラバラ、コツコツ」です。これは、今から十数年前、女性FP(ファイナンシャルプランナー)による資産形成の勉強会で、みんなで編み出したキーワードです。

 “ボチボチ”と長期間を視野に、時間的余裕を持ち育んでいくことが、リーマンショックや9.11、東日本大震災、今回のコロナショックなどの予期せぬ下落時においても回復するのを見守り、乗り越えられる秘訣です。これは、あのリーマンショックという非常事態でも5年後には暴落前の水準に戻ったことから、ある程度の時間があれば、世界経済はそれを乗り越え、新たな成長の方向性を探り出し進んでいくという前提に立った考え方です。

 また、値動きの異なる幅広い金融商品に“バラバラ”と分散して投資する。それにより、株式が値下がりしても、値動きの異なる資産でカバーすることが可能に。一度にまとまった資金を投入すると、高値掴みとなるリスクがあります。投資対象を分散することで、値動きの幅を小さくする、つまりリスクを下げる効果があるのです。

 また、毎月“コツコツ"と定期的に定額で買い続けることにより、購入のタイミングを計ることなく平準化することができます。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus