新時代のマネー戦略

「初の投資で老後資金1000万円」は夢ではない “今すぐつみたてNISA”の底力 (3/3ページ)

岡本典子
岡本典子

 投資対象を多様な金融商品に分散して長期間積立していくと、リスクを下げ、増えていくという根拠を、過去の例で類推していきます。このあたりは、少し専門的になります。

 例えば投資対象を日本以外の先進国株式に分散された投資信託である「MSCIコクサイ・インデックス」を見ると、20年間の年平均収益率(リターン)は6.5%(2020年11月末)です。もし、20年前にこの投資信託に1000万円投資していたら、複利で増えて3520万円になっていたという計算になります。

初めての人に向いている「つみたてNISA」の活用

 金融庁が公的年金の不足分を補うために、「長期・分散・積立」方式を用いて老後資金を備えていける制度を推奨しています。iDeCoやつみたてNISAという税制優遇制度です。両制度の対象金融商品の多くは、分散効果の高い金融商品である投資信託です。

 今回は、20歳以上の国内居住者であればだれでも使える「つみたてNISA」に絞って見ていきます。誰でも使えるとはいえ、一般NISAとの併用はできませんので、どちらかを選択することになります。投資は初めてという方には「つみたてNISA」の方が適しています。

 「つみたてNISA」は、証券口座を開き、積み立てを行う金融商品を決め、年間最大40万円、実際は毎月3.3万円までを定額で、最長20年間(最大拠出額792万円)積立投資していく制度です。

 つみたてNISAのメリットは、運用益が非課税、少額(500円)からはじめられる、いつでも換金できる、年齢の上限がない、そして、初心者でも低コストで長期にわたる投資ができる点です。積立購入する投資対象は、金融庁が提示した「手数料が低水準で、頻繁に分配金が支払われないなど長期投資に適している」という要件を満たした、1つのハードルを越えた金融商品のラインナップから選択できます。

 さらに、運用コストが低く抑えられた商品が中心で、運用益が非課税なため、20年という長い期間をかけて老後資金作りをしていく根幹にできる制度といえます。なお、運用益についてですが、一般の投資性商品においても、預貯金のところで述べたように譲渡益税の20.315%が引かれますが、つみたてNISAにおいては、これが引かれず、すべての運用益を手にすることができるのが大きなメリットなのです。

 下記は、毎月3.3万円を20年間積立投資する場合に、3%、5%、7%で運用できたケースの最終積立額で、前述の老後資金不足額のかなりの部分や、運用次第でそれ以上を用意できることがわかります。さらに下部の普通預金で積み立てた時の積立額との違いは歴然としています。

どの投資信託を選択するかがカギ

 つみたてNISAを利用する際に、どの投資信託を選択するかで、最長20年間のベクトルが決まります。実は、証券口座をどこで開くかにより、選択できる商品ラインナップが異なります。投資が初めての方は、その選択で戸惑うでしょう。長期投資に適した商品ラインナップの中でもコストが低く、分散効果の高い投資信託を選択することが大切です。これまでの運用成績やコスト、中身の投資対象などを検討する必要があります。

 老後資金形成のためには、つみたてNISAをスタートさせ、毎月3.3万円ずつ、5%で運用できれば最初に示した不足額を補うことが可能です。いい機会ですので、これを機に投資の勉強も少しずつ進めていくきっかけにしていただきたいと思います。

岡本典子(おかもと・のりこ)
岡本典子(おかもと・のりこ) ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
FPリフレッシュ代表。有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、東京、神奈川を中心に230カ所以上を訪問。シニアライフを安心・安全・安寧に過ごせる「終のすみか」を探される方の住み替えコンサルティングに力を注いでいる。セミナー講師や講演をおこなうほか、執筆、監修、新聞や雑誌の取材に応じている。著書に『親の介護と自分の老後ガイドブック』(ビジネス教育出版社)がある。

【新時代のマネー戦略】は、FPなどのお金プロが、変化の激しい時代の家計防衛術や資産形成を提案する連載コラムです。毎月第2・第4金曜日に掲載します。アーカイブはこちら

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