旅行大手のJTB、JTBが出資するFun Japan Communications、IT企業のFIXERの3社が手掛ける「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」が望まぬ形で注目を集めている。インターネット上に作られた仮想空間の「日本」で交流や買い物を楽しみ、旅行への関心を持続させることで新型コロナウイルス終息後の観光事業を盛り上げるという壮大なプロジェクトだが、公開された映像のクオリティーが物議を醸したのだ。
国内外の閲覧環境に対応
「初代プレイステーションのようだ」
バーチャル・ジャパン・プラットフォームのデモ動画が7日に公開されると、SNSやネット掲示板で容赦ないコメントが相次いだ。
現在、運営されている仮想空間のサービスにはシンプルな3Dグラフィックを採用するものもある。しかし、立体感に乏しい花畑やロボットのような人間のアバター(ユーザーの分身)は、ネットユーザーの目に、まるで四半世紀前のゲーム機のグラフィック同然と映ったようだ。思わぬ形で話題になった動画は19日までに28万回以上再生された。
「公開した動画は開発段階のものです」
JTBの広報担当者はそう話しながらも、制作の経緯を推測する誤情報まで飛び交ったことに困惑しているようだった。3D空間の設計や開発を担当したFIXERの担当者は「システムの設計・開発は自社で行い、グラフィックの一部は外部の制作会社との協力体制で制作しました」と明かす。
簡素なグラフィックを制作した意図をFIXERに聞くと、こう回答があった。
「海外・国内を問わず多くのユーザーに、ユニバーサル(普遍的)に体験していただくことを目指しています。ユーザーの閲覧環境に広く対応するため、サービス開始時はダウンロード・インストール不要の、ブラウザベースのウェブアプリでご利用頂く予定です」