北川信行の蹴球ノート

メッシ放出の舞台裏、バルセロナが「野望」を選んだ結果ではないか (1/2ページ)

 サッカー界のスーパースター、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ(34)が13歳のときから21年間過ごしたバルセロナ(スペイン)を離れ、パリ・サンジェルマン(フランス)に移籍した。今月8日に行われた記者会見では「残りたかったので非常に悲しい。このような形で別れを告げることは想像していなかった」と、妻のアントネラさんから手渡されたティッシュを手に、涙ながらに話した。なぜ、メッシは愛着あるクラブを去らなければならなかったのか。地元紙や英紙の報道から検証した。

 英紙ガーディアンなどによると、シーズンオフの休暇を高級リゾート地として知られるイビサ島で過ごしていたメッシがバルセロナに戻ってきたのは、クラブとの契約を延長するためだった。しかし、待っていたのはバルセロナの経営トップ、ジョアン・ラポルタ会長の「チームの年俸総額がスペインリーグが定めている上限を超えているため、契約できない」との言葉。厳しい現実を突き付けられて失望したメッシは「問題はすべて解決されたと思っていたのに、最後の最後にリーグの規定が原因で、思いがけないことが起こった」とうなだれた。

 背景にあったのは、ラポルタ会長も「予想よりもはるかに悪い」と認める、バルセロナの深刻な財政難。地元紙などの説明によると、スペインリーグは2013年、すべてのクラブは選手の年俸総額や移籍金による支出を歳入の70%以下に抑えなければならない-との変動型のサラリーキャップ制を導入。しかし、バルセロナは、かつて“銀河系”と称されたライバルのレアル・マドリード(スペイン)と同様に、世界中からスター選手をかき集め続け、年俸総額が規定を上回る事態に陥っていた。

 さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、入場料などの収入が大幅に減少。その結果、最近の年俸総額は歳入の110%にまで達し、累積負債は12億ユーロ(約1550億円)を超えていたとされる。

 昨夏に退団の意向を表明するなど一時はクラブと「冷めた関係」にあったメッシ側も、こうしたクラブの懐具合を鑑みて大幅に譲歩。推定1億3800万ユーロ(約179億円)の年俸を半額にし、5年契約を結ぶ案などで事実上合意に達していたもようだが、リーグが“待った”をかける形で、正式契約に至らなかった。

 ラポルタ会長は記者会見で「クラブの財政状況の中で、メッシを残留させるために全力を尽くしたのに…」とリーグの横やりに恨み節。バルセロナのクラブとして「当事者同士が新しい契約に署名する明確な意図があるにもかかわらず、リーグの規制のためにかなわなかった。選手とクラブの希望が実現されないことを遺憾に思う」との声明を発表した。

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