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ムダな税金は払わない! 年末までにやっておきたい7つの節税チェック (3/4ページ)

中島典子
中島典子

 上場株式の配当金は、通常15%の所得税が源泉徴収されます。仮に課税所得が500万円で所得税の税率を20%、配当控除の税率を10%とした場合、「配当金の源泉徴収の税率15%>所得税の税率20%-配当控除10%=10%」となるため、配当控除を選択したほうが所得税が少なくなるため有利となります。ただし、この有利不利は、その年の収入によっても変わります。また、通常住民税の負担が増えるため、所得税とは別に住民税の申告をした方が有利な場合があります。

(7)年内に受けられる/できる贈与はないか

 贈与の基礎控除などを年単位でフルに活用することで、税金を節税することができます。具体的な活用法は後ほどご説明します。

年内に済ませたほうが節税できる各種支払い

 税金で損をしないためのポイントの2つめとして先ほど、ムダな税金を払わずに、「早めにキャッシュバックする」とお伝えしました。早めにキャッシュバックするためにはまず、支払いを年内に実行することです。受けられる控除枠や控除上限額をフル活用するのです。

 年内に支払いを済ませると、確定申告などによって早めにキャッシュバックできる項目は例えばこちらです。控除の種類別に列挙します。

【所得からの控除】

  • 国民年金、国民健康保険
  • 生命保険、損害保険(地震保険)
  • 医療費
  • iDeCo、小規模企業共済掛金
  • 寄附金※(ふるさと納税など)

【税額からの控除】

  • 寄附金(一定の認定NPO法人や公益社団法人などへの寄附金)※

【経費の控除】

  • 自営業・副業のパソコンや備品、消耗品などの経費

【その他】

  • 贈与

※寄附金は、寄附金の種類により、所得控除と税額控除とのいずれか有利な方を選択できるものがあります。寄附先発行の受領書(領収書)やHPで確認しましょう。

▼未払いの国民年金・健康保険料を支払う

 自営業の方などは、国民年金や国民健康保険、介護保険の支払いをチェックしておきましょう。国民年金や国民健康保険、介護保険は、支払った全額が「社会保険料控除」となります。所得税だけなく、住民税、国民健康保険・介護保険の金額も変わってきます。払うなら年内がおすすめです。

▼生命保険・損害保険(地震保険)の金額を増やす

 生命保険料や地震保険料で、生命保険料控除や地震保険料控除の金額を増やすことができます。ただし、控除には限度額がありますので、控除の枠がどのくらいあるかを、まず確認しておきましょう。

 この機会に保障を見直して、新たな保険に加入したり、掛金を増やすなどで控除を増やすことができます。ただし、年末間際の加入の場合、年末調整に間に合わないこともありえます。保険料控除証明書の発行については、契約の際に保険会社に確認して手配しておきましょう。勤務先で1月に年末調整をやりなおしてもらうか、確定申告で税金を戻す手続きが必要です。

▼医療費…気になる箇所の治療を受ける

 医療費控除は、その年に支払った分が医療費控除の対象になります。もし、年末に病院で治療して年明けに治療代を支払った場合、年内で未払いだと支払った翌年の医療費控除の対象になります。所得金額にもよりますが、通常10万円を超えた金額が医療費控除になりますので、未払分があれば年内に支払っておきましょう。

 また、気になる箇所の治療を受けておくのもおすすめです。「あと少しで10万円だった」ということもあります。今のうちに通院の交通費や家族の分の医療費の領収書もまとめておきましょう。

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