COP21開幕 パリ緊迫 デモ禁止抗議289人拘束
30日に開幕した国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の開催地パリは、11月13日夜の同時多発テロ発生によって、「地球温暖化」と「国際テロリズム」という人類が共通して抱く2つの脅威を象徴する場所となった。犠牲者への追悼が続く中、厳重な警備態勢が敷かれ、緊迫した状況が続いている。
首相が献花
29日夜、政府専用機でパリに降り立った安倍晋三首相(61)は、同時テロで約90人が犠牲となったパリ中心部のバタクラン劇場に直行。劇場前に設置された献花台に花束を手向けると、深々と一礼した。
「日本として強い連帯の意を表明したい。試練のときを迎えたフランスと日本は常にともにある。人類共通の価値に対する戦いに、世界は結束しなければならない」
首相は同行記者団を前に、フランス国民に寄り添い、卑劣なテロに立ち向かう姿勢を強調した。
テロから半月以上が経過した劇場周辺は今も、パリ市民の心が路上を埋め尽くしていた。花束やキャンドル、犠牲者とみられる若者の写真、さまざまな言語で書かれた哀悼のメッセージ…。それらは道路を挟んだ向かい側の方がより多く、その長さは100メートル以上にも及んでいた。
パリ中心部は一見すると落ち着いた雰囲気を漂わせていた。しかし、凱旋門(がいせんもん)のようなテロの攻撃対象になりかねない観光地では、銃を構えた警察官が不審者の有無に絶えず目を光らせていた。
COP21には約150カ国の首脳級の要人が集結する。治安当局は万全な警備態勢を取るため、パリ市民にも協力を求めた。交通渋滞による混乱を避けるため、29、30両日は公共交通機関を無料とし、代わりに外出や自動車の利用を自粛するよう呼びかけた。
そのため、朝の通勤時間帯には、開放された地下鉄の改札口を利用者らが次々と通り抜ける姿も。COP21の会場周辺では、一部の主要道路が通行停止となった。
しかし、それでも混乱は生じている。パリでは同時多発テロ後の非常事態が続き、治安対策としてデモが禁じられている。だが、中心部のレピュブリック広場付近では29日、過激な活動家が瓶などを警官隊に投げつけ、警官隊が催涙ガスで応戦。289人が拘束された。花の都は緊張感に包まれている。(パリ 小野晋史、宮下日出男/SANKEI EXPRESS)
≪日仏首脳が連帯強調へ≫
安倍晋三首相は30日午前(日本時間30日夜)、パリ郊外で開幕したCOP21に出席した。首相は30日午後(日本時間1日未明)のスピーチで、途上国に対して2020年に官民合わせて約1兆3000億円の気候変動対策支援を実施することを表明する。
首相は、COP21の会場でフランソワ・オランド仏大統領(61)の出迎えを受け、開会式に参加。開会式後は、記念写真撮影と各国首脳によるスピーチが行われた。
安倍首相はスピーチで、「テロに屈せずCOP21を開催したオランド大統領、フランス政府やフランス国民の皆様に敬意と連帯の意を表する」と述べ、国際社会の連携を呼びかける。
COP21が目指す新たな国際枠組みに関しては、長期目標の設定や、温室効果ガスの削減目標を見直す共通プロセスの創設などを盛り込むように提案する。
日本の貢献策として途上国に官民合わせて約1兆3000億円を支援し、地熱エネルギーや太陽光技術を活用したインフラ整備など、日本企業が得意とする分野で支援を強化していくことを表明する。
気候変動対策と経済成長を両立させるため、二酸化炭素(CO2)を排出しない水素技術や電気自動車などの研究開発に注力する「エネルギー・環境イノベーション戦略」を来春までに策定することも明らかにし、国際社会への貢献をアピールする。(パリ 小野晋史/SANKEI EXPRESS)
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