国際結婚テーマに仏社会の本質描く 映画「最高の花婿」 フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督インタビュー
「僕のパートナーはアフリカ出身のイスラム教徒ですが、フランス人の僕はとても緩いカトリック教徒です。僕の兄弟の妻はアフリカ北部の出身で、宗教は…」。SANKEI EXPRESSの取材に思わず言葉を詰まらせ、苦笑いを浮かべたのは、フランス映画のヒットメーカー、フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督(50)だ。要するに自分の親族は、人種も、民族も、宗教も、国籍もまるで違う、多様なバックグラウンドを持った面々の集まりだというのだ。
だからこそ、こんな映画を撮れたのだろう。新作コメディー「最高の花婿」は、敬虔(けいけん)なカトリック教徒の老夫婦が、4人の娘の結婚相手をめぐってドタバタを繰り広げるといったお話で、フランス社会の本質を楽しく学ぶことができる良き映像教材と言ってよい。配給によれば、フランス本国で1200万人を動員する大ヒットを記録したそうだ。
《今日は三女(エミリー・カーン)の結婚式だというのに、記念写真の撮影に臨んだ父親のクロード(クリスチャン・クラヴィエ)と妻のマリー(シャンタル・ロビー)の表情は曇りがちだった。それもそのはず。長女(フレデリック・ベル)はアラブ人、次女(ジュリア・ピアトン)はユダヤ人、三女は中国人と結婚…。敬虔なカトリック教徒であるクロードとマリーは耐え難い現実を突きつけられていたのだ。そこで2人は「せめて末娘(エロディー・フォンタン)だけはカトリック教徒と結婚させよう」と画策するのだが…》
ショーヴロン監督は大ヒットの背景について、「登場人物はフランス社会のさまざまなコミュニティーに所属している人々です。フランスで暮らす大勢の人々がこの作品に関心を持ってくれたのは、そのためでしょう。また、フランス以外の国でもヒットした理由は、困難が付きまとう国際結婚というテーマ自体がユニバーサルなものだからだと思います」と恐縮した面持ちで分析してみせた。
では、なぜ今、本作を描いたのだろうか。「きっかけは『フランス人は国際結婚のチャンピオン』という新聞記事を読んだことです。『これは面白い、映画の題材に使える』と思ったのです。僕は大家族の中で育ち、国際結婚をした家族もいるので、体験談を映画を通して伝えることができるとも考えました」。見立て通りである。
実は、もう一つ理由があった。「個人的な印象ですが、アラブ人とユダヤ人はこれまでいろんな映画に登場してきましたが、ポジティブに描かれていません。私はこの映画で、今もフランス社会に豊かさをもたらし続けている、彼らのコミュニティーにオマージュをささげ、ポジティブに表現してみようと考えました。この数十年間、大勢の移民を受け入れたことで、かなりの変革を実現したフランス社会のポートレートを描けたと確信しています」。3月19日から東京・YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国順次公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)
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