被災地から「強気」 釜石・岩間大、122球完投

高校野球
九回表、小豆島(しょうどしま)のラストバッター宝来彰太を打ち取り、万歳する釜石の岩間大(だい)投手=2016年3月21日、兵庫県西宮市の甲子園球場(宮沢宗士郎撮影)

 第88回選抜高校野球大会第2日は21日、甲子園球場で1回戦3試合が行われ、釜石(岩手)龍谷大平安(京都)八戸学院光星(青森)が勝ち、2回戦に進出した。

 釜石は三回、佐々木航の中前打で先制すると、八回には奥村の適時二塁打で加点。岩間が反撃を九回の1点に抑え、2-1で小豆島(香川)との21世紀枠対決を制した。釜石は甲子園初勝利で、岩手勢は春通算10勝目。

 東日本大震災で大きな被害を受けた故郷を元気づける大きな1勝。勝利の原動力となったエース岩間は「被災地のみなさんも勝ちを期待していたと思うのでうれしい」と胸を張った。

 毎回のように走者を背負う苦しい投球ながら、チェンジアップを効果的に使い、打者に狙い球を絞らせなかった。ピンチのたび、試合前に帽子のつばに書き込んだ「強気」の文字を見上げ、逃げない気持ちを貫いた。九回の一打同点の場面も二ゴロに打ち取り、122球、1失点で完投。「震災の苦難を乗り越えて負けない精神力がついた」と誇った。

 釜石市の隣にある大槌町(おおつちちょう)で小学6年のときに被災し、母の成子さんは行方不明のままだ。それでも「母が一番応援してくれたから」と野球を続けることに迷いはなかった。

 エースの力投に仲間も堅守で応えた。大会前の甲子園練習で緊張からミスを連発した姿はなく、佐々木監督は「点を取られないイメージを持っていた」とたたえた。2回戦は滋賀学園とぶつかる。「ガンガン強気に攻めていきたい」と岩間。学校には「鋼鉄の意志」と記された20年前の出場記念石碑が立つ。次の目標に掲げる21世紀枠最高成績の4強に挑む。(SANKEI EXPRESS