参院選へ「手土産」
首相にとって最大の見せ場はサミット初日(日本時間18日未明)のセッション1。「世界経済」をめぐる討議で、アベノミクスの詳細を5分以上にわたってスピーチした。
「日本の経済成長によって、世界の成長に資するような経済をつくっていく」。首相は日本経済が世界経済を引っ張るという決意を高らかに宣言した。
首脳たちの反応は上々だった。「1年前に比べ、日本の状況は格段に良くなった」「財政再建と成長は相反する概念ではない」…。イタリアのエンリコ・レッタ首相からは「経済再生の良きお手本として参考にしたい。アベノミクスについて講演をお願いしたい」と訪問を招請され、直接指導を頼まれる場面もあった。
首相にはこうした発言が必要だった。サミットから帰れば、「親の敵」という表現すら用いて必勝を期す参院選が待ち構える。対する野党は、最近の株価の乱高下を受けてアベノミクスを「国民生活を破壊する毒矢」と批判。首相は、G8首脳のお墨付きを得ることで、こうした批判を振り払おうとした。