日系企業も多数く入居する上海市内の高層オフィスビル群。華やかな外観とは裏腹に、中国の「労働契約法」の規定で事実上、人事権を行使できずに経営麻痺に陥った日系企業が続発している=7月9日、中国(河崎真澄撮影)【拡大】
【国際情勢分析】
これまで中国で日系企業が巻き込まれる労使トラブルといえば、賃上げや待遇改善の要求を掲げたデモやサボタージュが大半だった。ところが最近、日系企業の組織運営まで、やすやすと麻痺(まひ)させる予期せぬトラブルが続発。中国ビジネスの難しさを改めて突きつけている。
「脅迫に屈した」
「事実上の乗っ取りだ」。化学分野のある日系企業幹部は声を震わせた。十数年前の中国進出時に採用し、その後メキメキ頭角を現した日本留学経験のある中国人スタッフは現在、上海法人で副総経理(副社長)まで上りつめている。
信頼を寄せた男だったが、第三者からの指摘で、契約にからみ邦貨換算で少なくとも数百万円の裏金が渡った疑惑が浮上。地方工場の管理部門に配置転換の上、上海法人の営業や経理、財務の人事制度を抜本改革しようとした。