日系企業も多数く入居する上海市内の高層オフィスビル群。華やかな外観とは裏腹に、中国の「労働契約法」の規定で事実上、人事権を行使できずに経営麻痺に陥った日系企業が続発している=7月9日、中国(河崎真澄撮影)【拡大】
労働契約法のくびき
日本国内では企業内の人事権の行使が、組織運営上、重要なカギを握るのに対し、中国では事実上、経営側が人事権を喪失したと同じだ。前述のようなケースは、上海で日系企業の中国人総務スタッフが定期的に開いている情報交換会などで直ちに伝わるといい、「中には他の日系企業で経営側が折れた手口を悪用する例もある」(地元弁護士)ため、日系企業の経営者には警戒感が広がっている。
電子部品メーカーでは、中国人従業員2人が本人の不注意で数百万円もする自社商品を破損させ、会社に損害を与える事故を起こした。1人は始末書にサインし、もう1人はサインを拒否。その後、この2人は3度にわたって同じ破損を繰り返し、業を煮やした会社が2人を解雇したところ、2人が別々に不当解雇と会社側を訴えてきた。
裁判所の判決では、「労働契約法」に基づき、始末書を書いた従業員は非を認めたので解雇は正当。しかしサインを拒否したもう1人は非を認めていないので解雇は不当という判断が下され、誰もがアッと驚いた。判決後、その企業の従業員はだれも始末書にサインしなくなったというオチもついている。