<残念ながら、日本では、交渉の過程あるいは新しい提案をマスコミに漏らすという傾向があります。これまでのことを見る限り、そうした漏洩は否定的効果しかもたらしませんでした。なぜなら、そうした漏洩をまず利用するのは、そもそも領土問題に関するロ日間の合意に反対する人々だからです。そうした勢力は、日本だけではなく、ロシアにも、さらには第三国にも存在しています。(中略)もちろん、通常、交渉に参加するどちらの側も、自分たちの国益を損なうような譲歩をしたりはしません。しかし、お互い何らかの歩み寄りをする可能性はあります。そのために、外交官にもまた政治家にも、少なくない勇気が求められます。2001年イルクーツクでのプーチン・森会談で、双方は、南クリルの4島同時返還という強硬な要求を棚上げすることで合意に達しましたが、その後、森氏も交渉に参加した日本の外交官たちも、国益を損なった裏切り者として非難されました。森氏は首相を辞任し、日本政府は再び従来の強硬路線に戻り、その結果、平和条約と南クリルに関するロ日交渉は、10年以上に渡り凍結してしまいました。そして今、日本側の立場が再びより柔軟になるのではないかという希望が見えています。しかし、交渉が成功のチャンスを持つためには、マスコミが『情報を投げ込むこと』で交渉に影響がでないようにすべきだと思います>(同上)