それには2つの理由がある。第1は、一時亡命の審査であるという理由であっても、米国の激しい反発を招き、米露関係の悪化を招くからだ。
第2はプーチン大統領が、インテリジェンス機関を裏切ったスノーデン氏を心の底から軽蔑し、嫌っているからだ。
前出の論評では、<スノーデン氏は現在、ロシア語を勉強中であるともいう。スノーデン氏のプランの中には、ロシアで就職し、「どうにか生活を打ち立てる」、というものもある。しかしそれを具体的に表現することは、元CIA職員は避けている>という情報が披露されている。本人がどこまで自覚しているかを別にして、スノーデン氏は、国家や政府がなくても、人間は幸せに暮らしていくことができるというアナーキズム(無政府主義)と親和的な世界観を抱いている。プーチン大統領は、このような思想を持つスノーデン氏の亡命を受け入れると、ロシア国家に敵対するような活動を始めると懸念しているのであろう。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS)