2012年になると、6月にエリザベス女王の即位60周年記念式典「ダイヤモンド・ジュビリー」に人々は心を躍らせ、間近に迫った五輪開幕に向け、ロンドン中が希望と興奮で盛り上がっていた。
ルーゴ氏は「『National pride(国家のプライド)』が最高潮に達していたときだった」と振り返る。
しかし、その裏では、五輪会場の開発に伴い、地元の会社や住民、スタジオを持つアーティストらに立ち退き要請が出され、多くの人が長年親しんだ土地を追い出されていたという。また、地域の住民が毎日のように利用する公園が取り壊され、集いの場が奪われた事例もあったそうだ。大規模な開発によって地域のコミュニティーが破壊されたという「負の側面」が存在したのである。
「固定された景色だけを撮影するような、五輪のニュース取材班と同じ間違いを犯してはいけないと思った」と、ルーゴ氏。撮影する際は、常にカメラのアングルを少し動かすことを心がけたという。「わずかな想像力を持つことで、いろいろなものや人の存在がわかり始めるのです」と、彼は話す。