そもそも政府は、憲法9条によって「性能上専(もっぱ)ら相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることになるため、いかなる場合にも許されない。ICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されない」(2013年版『防衛白書』)との立場をとっている。
防衛省自衛隊は、C4ISR(指揮・統制・通信・コンピューター・情報・警戒監視・偵察)や衛星防護の分野で、宇宙利用を進めているが、そこまでだ。
そんなことを百も承知の近隣諸国から警戒の声があがるのは、固体燃料ロケットの技術が、核兵器の運搬手段であるICBMや中距離弾道ミサイル(IRBM)などを開発するための中核的技術でもあるからだ。ロシアは戦略ロケット軍に配備していたICBMを、人工衛星打ち上げロケットへ商用転用している。
侮られないための保険
宇宙ロケット、特に固体燃料ロケットの技術は、発射が迅速にできることなどから、弾道ミサイルと裏表の関係にある。筆者は、2013年1月5日の「安倍政権考 維持された核オプション」でも記したが、自前の技術に基づく平和利用のための原発は、核オプション-核武装するかどうかの選択の自由-を担保している。それと似た構図であり、固体燃料ロケットの技術は核オプションの構成要素でもある。