「ほら、カネボウの化粧品で問題があったでしょう?」
今夏、電車の中などで何度となく似たような会話を耳にした。話していたのは主に女性だが、年代はさまざま。美白化粧品があらゆる世代に浸透し、認知度や注目度が高い証拠でもあろう。
カネボウ化粧品の「ブランシールスペリア ホワイトディープシリーズ」をはじめとする美白化粧品により、肌がまだらに白くなる「尋常性白斑」の問題。7月4日の問題公表以降、まだそのメカニズムは、詳しくわかっていない。カネボウでは、紫外線などとの関連性を考えられるひとつの方向として挙げているが、仮説の段階だ。
問題公表後に開設した専用電話には該当商品どころか、カネボウの製品さえ使用していない消費者からも「白斑が出た」との電話があったという笑うに笑えない話もある。だが、該当する発症者は約1万人に達し、その補償額も大きく膨らむ。カネボウの前途が多難なことは確かなようだ。
カネボウ化粧品の夏坂真澄社長は、都合3度開かれた会見に全て出席。「被害者の方が完治されるまで対応するのが責任」などとして、引責辞任せず、対応にあたっている。役員報酬返上や、品質管理部門を親会社の花王と統合するなどの対応策も打ち出した。