【安倍政権考】
「而(しこう)してカルタゴは滅ぼさねばならぬ」。共和政ローマの元老院議員、カトーはどんな演説でもこう締めくくったとされる。カトーの主張が認められ、第三次ポエニ戦争を経てローマは地中海の完全な覇者になり、ヨーロッパ、小アジア、アフリカにまたがる大帝国の基礎を築く。余談ながら、個人的にはアルプス越えのハンニバル贔屓(びきき)なのでカトーにはいささかの思いもあるが、それはさておき、政治家が信念を込め、国の方向性を示すのは転換期には非常に重要なことだ。
奮起促す首相発言
「半世紀ほど前の本日、10月1日。東海道新幹線は開業した。そしてその10日後、東京オリンピックが開会された。がんばる人は報われる。みながそう信じていた時代だ」
安倍晋三首相は1日夕、こう切り出して消費税増税を発表した。
首相は就任以来、しばしば演説で高度経済成長期に言及する。今日よりも明日は良くなると信じて日本全体が無我夢中だったといい、「当時の日本人にできて現在のわれわれにできないはずがない」と奮起を促している。