メキシコのグアハルド経済相は、記者団に対し「オバマ氏の欠席は交渉のスピードに影響を与えない。首脳からの指示を受け作業を続けている」と語ったが面持ちは硬いまま。ある国の閣僚は「年内妥結だというから来ているのに」と不機嫌さを隠しきれない様子だった。
米国は来年秋に中間選挙を控え、年明けから選挙戦が本格化する。年内のTPP交渉妥結にこだわるオバマ政権は、行き詰まる協議の打開に躍起だった。
関係筋によると、米国は交渉の席上、自国の利益につながる主張を押し通そうとする場面が目立ち、利害が対立する新興国の反発を買っていた。「米国は焦っている」。参加国の見方は一致していた。
勢い低下
オバマ政権がTPPを通商政策の最重要課題と位置付けるのは、野党共和党が支配する議会下院との対立が激しく、予算執行が絡む新たな政策が何一つ実行できないためだ。通商政策は野党と協調路線が築ける数少ない分野だけに、TPPを突破口に経済運営を切り回したい思惑は強い。