側近のフロマン氏に外堀を埋めさせた上で、10月の首脳会合に自らが乗り込み年内妥結へ道筋をつける-。オバマ氏の描いたシナリオだったが、ここでも国内の政治対立に阻まれた。
オバマ氏欠席が発表される数時間前、米紙とのインタビューに応じたフロマン氏は、年内の交渉妥結は「野心的だが可能だ」と従来の見解を繰り返した。ただ、通商交渉に詳しい米関係者は「議会との対立が解けない政権を相手に、他国がどこまで真剣に協議に応じてくれるか疑問だ」と交渉の勢い低下は否めないと指摘した。
高い代償
「日米でTPP交渉をリードする」と意気込んでバリ島に乗り込んだ甘利明(あまり・あきら)担当相。オバマ氏の欠席に「何とか都合をつけてもらえるのではないかと期待していたが」と言葉少なだった。
3日開幕した閣僚会合は年内の交渉妥結に向けて交渉を加速させることを再確認した。しかし、ある経済官庁の幹部は「年内妥結へ他国の尻をたたいていた米国はオバマ大統領の欠席で信頼を失う。まとまりそうだった話もまとまらなくなる」と気をもむ。