いっそ、このままくすぶるにまかせちまおうか-。社会の厳しさを肌で知り、将来の自分の姿もうっすらと見えてくる三十路の手前に差しかかれば、誰しも一度はそんな気持ちになったことがあるのではないだろうか。ところが、むしろそこから自堕落な生き方を悔い改め、人生のリターンマッチに臨もうという落ちこぼれコンビがいる。清水浩監督が手がけた「キッズ・リターン 再会の時」は、青春の大切な忘れ物を必死に取り戻そうともがき苦しむ、もう若者とはいえない男2人の物語だ。
そのタイトルからも分かるように、本作は北野武監督(66)の名作「キッズ・リターン」(1996年)の続編。北野作品では、静と動-まるで性格は違うが気心が通じる主人公のシンジ(安藤政信)とマサル(金子賢)が、ボクシングとやくざ、それぞれの世界で頂点を目指すまでが描かれていたが、本作では、共同で脚本も執筆した清水の手により、10年後の世界が描き出されている。