傷つけることもある
タイトルにもあるように、「気づかい」も重要なテーマの一つ。
おじいさんの皮をかぶってルーシーの前に現れた子馬だが、もちろん馬が人間のフリをするには無理がある。ルーシーはすぐに事態を察するが-。
《ルーシーは見て見ぬふりをしました。すごく、努力して、見て見ぬふりをしました。》
互いに相手を思ってゆえの気づかい。だが、この気づかいが思わぬ悲劇を呼ぶ。「気づかいって大事だけれど、実は人を傷つけることもある。打ち上げの飲み会で1人でいると、遠くのほうで『松尾さん一人ぼっちだからそばに行ってあげなよ』ってボソボソ話してる声が聞こえて余計傷ついたり(笑)」
自身もかなりの「気ィつかい」。「気つかいすぎて手も足も出ないときがある(笑)。でも、結局、演出って『気づかい』みたいなもんですからね。物語を観客にどう効果的に届けるか、相手の気持ちをくむということをしないと成り立たない。物語は自分のために書くということもできるんですが、演出は、人の気持ちを気づかうところからしか生まれないものだと思っています」