教科書と違う土着の話し方
シェークスピア原作のこの「リア」は1978年、バイエルン州立歌劇場で初演された。指揮はゲルト・アルブレヒト、演出はジャン=ピエール・ポネル、主演はフィッシャー=ディースカウだった。これまでに30以上のプロダクションが作られている。
「私はディースカウの演奏やCDを聴いて、お手本にしてやってきました。ディースカウはマニアックなまでに言葉を扱った唯一の存在です。私は“言語フェチ”で、言葉にこだわります。新聞評でも『小森のドイツ語が特によく分かる』と書かれました。『リア』は、ドイツ語のリズム、アクセントなどがよく分からないと歌えません。教科書のドイツ語とは違う土着の、日常のドイツ語のしゃべり方が出てきます。そして、王様は美しいドイツ語をしゃべらなければいけません。ドイツから引き揚げてきてすぐ、こうしたドイツ語で歌える機会を与えていただきうれしいです」