プライバシー保護に敏感
諜報の世界に携わる関係者の間には「同盟・友好国は常に友だとは限らず、互いに諜報活動をし合っている。目新しいことではない」との冷めた声がある。
市民の方は対照的だ。米ワシントンでは26日、NSAによる個人情報収集に反発する市民数百人が、「われわれを監視するな」などと書かれたプラカードを掲げ、抗議デモを行った。旧東独時代、秘密警察に苦しんだドイツをはじめ、欧州社会もプライバシー保護には敏感だ。
米政府は01年の米中枢同時テロ以降、「愛国者法」を根拠に、テロ対策として諜報活動を強化してきた。オバマ大統領は今、テロ対策と「プライバシー侵害」という批判のはざまで苦慮し、外部の専門家による諜報活動の監視体制構築などに取り組むと表明している。
こうした安全保障とプライバシー保護をめぐる葛藤の構図は、欧米間にも存在してきた。米国はこれまで、プライバシー保護に重心が傾く欧州の振り子を、押し戻してきた経緯がある。それが今回の盗聴疑惑により、再び振り子が戻る力学が働けば、オバマ政権は新たな対応を迫られることになる。(SANKEI EXPRESS)