右の屏風の中央左寄りには五条大橋と、桜の木や日傘を手に踊りながら橋を渡る人々が描かれる。橋の左に目を移すと人形浄瑠璃や歌舞伎などの芝居小屋がひしめき、四条河原の喧噪(けんそう)が今にも聞こえてきそうだ。清水寺や八坂神社などの名所に加え、四季折々の風景や祇園祭なども描かれ、登場人物は2700人に上る。「舟木本」は他の本に比べて人物が大きく描かれているのが特徴。全体に金色の雲を配して空間をつなぎ距離を縮める工夫がされ、広い空間を一目で見られるようになっている。
また、国宝「上杉本」(米沢市上杉博物館蔵)は、安土桃山時代の絵師、狩野永徳の作品で、織田信長が上杉謙信に贈ったといわれる。全体にちりばめられた金雲からとがった建物の屋根をのぞかせる表現が特徴で、貴族や武家の邸宅や寺院などランドマークが数多く描かれ、細密な筆致に目を奪われる作品だ。