北海道北部の美深町(びふかちょう)が、作家、村上春樹さんの長編小説「羊をめぐる冒険」(1982年)に登場する町のモデルではないかと注目を集めている。聖地巡礼と称して訪れるファンも増え、地元観光協会は「小説を片手に観光を楽しんでもらいたい」と意気込んでいる。
作品と重なる美深町
主人公の男性と恋人が、背中に星形の模様のある羊と親友の行方を追って北海道を旅する物語。札幌で「羊博士」から手掛かりを得た主人公らは、列車を乗り継いで「十二滝町」を目指す。
多くの滝があり、シラカバ林が広がる美深町は稚内市と旭川市のほぼ中間に位置し、人口約4800人で農業や林業が盛ん。十二滝町の風景と重なるとしてファンが集まるのが、美深町の中心部から車で約30分の仁宇布(にうぷ)地区だ。
「この中に背中に星がある羊がいるかも」。9月下旬には約10人がツアーで物語と類似するスポットを巡り、朗読会で小説の世界に浸った。