「自由化」では修復不能
国家統計局は08年12月から四半期ごとの対外直接投資を公表している。対外直接投資は年々増え、11年746億ドル、12年には878億ドルに上る。この分をカウントすれば、11年の熱銭流入額は約1800億ドル、12年の逃避額は約900億ドルとなる。いずれにしても、巨額の投機資金が中国のバブル経済を支える半面で、その流出はバブル崩壊の引き金になる。
熱銭を国内につなぎ止めるために、当局は金利を高めに据え置き、人民元の値打ちを上げる、つまり元高政策をとっている。元高は輸出産業に打撃を与え、鉄道貨物輸送量でみる中国の実体経済は昨年末からゼロ%以下の成長を続けている。農村からの出稼ぎ労働者を中心に不満が高まり、暴動が頻発するわけである。巨大な党利権機構が組み込まれた中国の政治経済社会は、付き物の不正蓄財ゆえに崩壊しかねない脆(もろ)さを内包している。
習総書記の指示で経済の自由化が仮に一部で実行されようとも、党支配による市場経済モデルの破綻を修復できるはずはないだろう。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)