ただ、ここにきて「タイやインドネシア、インドの販売は減速気味」(トヨタ系大手部品メーカー首脳)と日本車が強い東南アジア市場の変調を指摘する声も相次ぐ。
それだけに、今後は増税前の駆け込み需要の取り込みが鍵を握ることになる。
賃上げや雇用増に貢献を求める声が強まるトヨタ。社内では「急速な円安で実力以上にもうかるようになってしまった」(幹部)と戸惑いも聞かれる。経営陣も「好業績でほめられている今がむしろ危ない」と手綱の引き締めに懸命だ。
増税に加え、トヨタのお膝元では中部電力が企業向け電気料金の平均8.44%値上げを政府に申請。トヨタにとっても「二重の負担」で、業績は見通しにくい状況ともいえる。
それでも自動車業界では「現実問題としてトヨタが賃上げしないと下請けもできない」(自動車アナリスト)。最高益をほぼ手中にした以上、取引先に対するコスト削減要求の緩和など利益還元を求められる場面も想定される。(SANKEI EXPRESS)