工房で佐竹さんの仕事を見せていただいた。木を読み、木と語らい、木目などの表情を見て、どう削り出したらその木を最大限に生かせるのかを、手で触れながら探っていく。ケヤキ、トチ、ミズナラ、カシ、クリなど、木は種類によって表情が異なる。木片をロクロにかけて大まかな形を削り出し(粗挽き)、時間をかけて燻製(くんせい)・乾燥して寝かせる。その後木が安定したら器の形に削り(中挽き)、最後に仕上げとして表面を薄く削り上げていく。削れば表面に水分が出てくるから、木が動く。それぞれの工程のあいだに、乾燥の時間を挟むこともあるそうだ。その長い時間をかけた丁寧な工程から生み出された作品は、実用的でフォルムが美しく、手にとると、想像をはるかに超えた軽さに驚く。ここまで薄く削り込むには、手の感覚が素材の深いところにまで届いていないと不可能だろう。ワイングラスの作品などは、ガラスよりも薄いのだ。
≪伝統を背負いつつ前へ進む≫
佐竹さんは、木地師の仕事だけでなく、塗りなどの漆器づくり全体の工程を担い、作品として仕上げる仕事もしている。作品制作のためには、分業に頼らず、工程全体をコントロールする必要があったのかもしれない。