現代にはインターネットなどのメディアもあるけれど、そこから得られる情報は情報でしかなく、ものづくりにはもっと深いものが宿っている。山や海、木々の緑、暁に黄昏。豊かな自然に囲まれて生活し、その力に手をかけ、新しいものを作り出す。自然の豊かさは、生み出されるモノの豊かな表情につながっている。佐竹さんの姿は、「早く、安く、手軽に」が主流になっている現代社会への挑戦でもあり、“ホンモノ”とはなんであるか?という無言の問いかけでもある。
帰り道、山中から車で数十分くらいのところにある加佐ノ岬に立ち寄った。黄昏時、太平洋や瀬戸内海とも違う朱華色で、闇と混ざり合い、何ともいえない美しい逢魔時へと変わっていく。その刻々とうつろう時間に目を奪われて、気がつけばシャッターを切っていた。(写真・文:俳優 井浦新/SANKEI EXPRESS)