≪「国民と共に歩まれる」お心に沿う≫
陵のあり方と葬送方法の変更の背景にある「極力国民生活への影響の少ないものとすることが望ましい」という天皇、皇后両陛下のご意向は、国民と共に歩むことを最も大切に考えられてきた両陛下のご姿勢を色濃く反映したものだ。
「国民生活に大きく影響を与えている厳しい経済情勢の最中のことであり、祝っていただくことを心苦しくも感じています」
天皇陛下は2009(平成21)年4月、ご結婚50周年に先立って行われた宮内記者会との会見でもこう述べて、前年9月のリーマン・ショック後の景気悪化に苦しむ国民を深く案じられた。
国民に寄り添われる両陛下のお気持ちは、さまざまな形で示されている。幾多の被災者、病気や障害など困難に苦しむ人々の元を訪れ、膝を折って耳を傾けられてきた。今年3月11日の東日本大震災2周年追悼式でも、陛下は「この厳しい状況の中、被災地で、また、それぞれの避難の地で、気丈に困難に耐え、日々生活している被災者の姿には、常に深く心を打たれ、この人々のことを、私どもはこれからも常に見守り、この苦しみを、少しでも分かち合っていくことが大切だとの思いを新たにしています」と述べられた。