日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は11月21日、金融政策決定会合後の記者会見で「海外経済の見通しを(10月に比べ)半歩程度進めた」と述べ、米欧を中心とする海外経済の回復が、輸出増加などを通じ国内経済に好影響を与えるとの考えを示した。この日の決定会合では4月に導入した大規模な金融緩和の継続を全員一致で決めた。国内景気の現状判断は前回10月の「緩やかに回復している」を据え置いた。
《米国の景気回復テンポは加速する》
黒田総裁は会見で、米国の景気見通しについてこう強調。海外経済の見通しについて「全体として緩やかに持ち直している」と述べ、前回10月の「徐々に持ち直しに向かっている」から表現を上方修正した。
特に景気回復が顕著なのが米国と欧州だ。米国は財政協議を巡る与野党の対立から10月に政府機関が一部閉鎖されるなど景気や雇用への影響が懸念された。
だが、10月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数の市場予想は前月比で12万5000人増だったが、ふたを開けてみれば20万4000人増と予想を裏切り大幅に改善した。欧州についても黒田総裁は「景気の持ち直しは明らかだ」と明言した。