また、来日に先だってワシントンの駐米日本大使公邸で開かれた歓迎行事では、なんと「道祖神(どうそじん)の招きにあひて、取るもの手につかず」という松尾芭蕉の「奥の細道」の序文の一節を引用してあいさつ。旅に出たくてたまらなかった芭蕉に自らの姿を重ね、早く日本に赴任したい心境を語った。「月日は百代の過客…」を知る日本人は多いが、「道祖神…」となると知る人は少ないだろう。日本文化に造詣が深いとはいえ、素晴らしい博識ぶりで、日本人の心をしっかりつかんだのではないだろうか。
ケネディ大使の親日家ぶりは今に始まったことではない。20歳だった1978年、今は亡き叔父、エドワード・ケネディ上院議員とともに広島を初訪問。大使は当時を振り返り「深く心を揺さぶられた。日本ほど私が奉仕できる国はない」と語っている。大使の日本への思い入れはそのころから強かった。新婚旅行も京都、奈良を回った。