会員制で共同利用するオフィス「コワーキング(協働)スペース」が各地で増え、利用者が仕事の幅を広げている。得意な技能を持ち寄る、地方の企業が東京での活動拠点にする、人脈を広げる-と利用の仕方はさまざま。出会いが新しい発想を生み出している。
全国300カ所、出会いの場に
流行の発信地、東京・渋谷。中心部から5分ほど歩くと、コワーキングスペース「PoRTaL(ポータル)」がある。ゆったりした空間には日の光が注ぎ、席は自由に選べる。
「いろいろな職業の人と自然に友達になれて、視野が広がった」。インテリアデザイナーの鈴木文貴さん(35)は、会社を退職して独立したのを機に昨年7月、会員になった。
親しくなった漫画家が単行本で鈴木さんの作品を紹介してくれた。鈴木さんは自分の仕事を紹介する画集を作ることを思いついた。川のせせらぎなど、自然の中にある音を研究する人とも知り合った。「将来は音や匂いを生かした空間を作りたい」と考えている。