安倍晋三首相が11月22日の産業競争力会議で「コメの生産調整の廃止は農政に必要不可欠」だとして、生産調整(減反)政策の見直しを指示した。これを受け、政府は食管制度廃止以来、自主的参加の名目で、自治体を通じてコメの生産調整数量を農家に配分してきた仕組みを5年後をめどにやめる方針を11月26日に決定した。
これを「減反廃止」と、農政の大転換であるかのように喧伝(けんでん)する向きがあるが、現実はまったく違う。従来ある「コメの生産を抑制し、米価の下落を防ぐ」ための補助金が自民党、農林水産省によってむしろ増大される状況なのだ。
これでは、生産調整廃止によって市場システムが機能するようになり、高齢・小規模農家から意欲あるコメ作り専業農家への農地集約が進むというストーリーは描けない。まして生産効率を上げて価格競争力を高め、いずれは「日本産米を有力輸出品に」などという夢はまったくの絵空事だろう。現実は農業衰退の背をただ押すだけと言っても過言ではない。