タイのインラック政権打倒を訴える反政府デモ隊は12月1日、首都バンコクの首相府など主要官庁の占拠を目指して一斉に大規模な抗議行動をスタートさせ、首相府周辺では警官隊が催涙弾を発射してデモ隊に対峙(たいじ)した。タイ保健省によると、警官隊の催涙弾発射で23人が負傷した。11月30日夜には反政府デモ隊と政府支持派の衝突が発生するなど、少なくとも4人が死亡、約60人が負傷した。一連のデモで死者が確認されたのは初めて。反政府デモ隊側は抗議活動の継続を主張、混乱が収拾するめどは全く立っていない。
インラック首相避難
デモ隊は1日午前、占拠している政府合同庁舎や民主記念塔などを出発し、一部は内務省の門を打ち破って占拠、首相府周辺や外務省などにも続々と到着した。フランス通信(AFP)などによると、首相府周辺では、道路上の数カ所に警官隊がブロックや鉄条網でバリケードを構築。押しかけたデモ隊が一部のブロックを撤去して突破を試みた。これに対し、警官隊はトウガラシ成分の入った水を噴射したり、催涙弾や音響弾を発射してデモ隊を押し返した。デモ隊はトラックに満載した水を配り、参加者は催涙弾の成分を洗い流しては再び封鎖線に押し寄せた。
双方は拡声器を使用し、デモ隊側が大音量で「進め」などと気勢を上げ、勇ましい音楽を流す。警官隊は「国民と争いたくない」と呼び掛けた。現地メディアは、顔を布で覆い、催涙弾を投げ返すデモ参加者の映像などを流した。