メキシコ市から飛行機で約1時間、歴史的街並みが世界遺産に登録されているオアハカに到着した。目的はメキシコの祝日「死者の日」(11月1、2日)をカメラに収めることだった。
死者の日とは、日本でいえば「お盆」のようなもの。ただ、その風景やメンタリティーはかなり異なる。メキシコでは、11月1日は子供の、2日は大人の魂が戻る日とされ、酒や食べ物を持ち寄って墓に家族、親戚、友人たちが集まり、故人の思い出話に浸りながら陽気に楽しく過ごす。メキシコ全土の中でも、特に華やかな音楽イベントやパレードが行われることで有名なのがオアハカであり、毎年、多くの観光客を集めている。
標高1550メートルの高地の空気の薄さを感じながら、飛行場から中心街へと足を延ばすと、赤と黄色のマリーゴールドの花が、山の匂いを伝え、街を鮮やかに色づけていた。レストランやホテルなど各所にガイコツの人形たちが踊っているかのように飾り付けられ、教会にはガイコツの形をしたパンやチョコレートなどが飾られた「オフレンダ」と呼ばれる祭壇が設けられていた。