天岩戸や天安河原(あまのやすかわら)など「古事記」や「日本書紀」に登場する神話の舞台が点在する宮崎県高千穂町。町内には小さな社も含めると500以上の神社があり、人々の生活に神々は切り離せない。
文献などによると、高千穂町では800年以上も前から神楽が行われていたという。特に、11月中旬から2月初旬まで行われる「高千穂夜神楽(よかぐら)」は、収穫に感謝し五穀豊饒(ほうじょう)を祈るため、地域の氏神様を迎え二日一晩舞を舞って楽しく過ごす地域のお祭りで、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
高千穂夜神楽は、観光客も見物できるが、「一夜氏子(いちやうじこ)」といってその日限りの氏子となり、地域のしきたりを守りながら楽しむことが大切だ。記者も天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ、高千穂町岩戸)の一夜氏子となって岩戸地区下永の内集落の夜神楽を見物した。
夜神楽は「神楽宿(かぐらやど)」と呼ばれる場所で行われる。以前は民家で行われることが一般的だったが、家の改修工事や当日の費用など経済的負担が大きいことから最近では公民館などで行うという。神楽の舞い人は「奉仕者(ほしゃ)どん」と呼ばれ、普段は農業に従事したり町役場やJAなどに勤務する普通の男性たちだ。ちなみに神楽は女人禁制。