またこの日は、「直会(なおらい)」といって、神様と地域の人たちが年に1度、飲食を共にする。一夜氏子(いちやうじこ)も例外ではなく、青竹に焼酎や酒を注いでお燗をした高千穂町特有のかっぽ酒や、お煮染め・汁物、おむすびなどが4回にわたってふるまわれた。どれも素朴な味でとてもおいしかった。こうした地元の方々のふるまいと奉仕者(ほしゃ)どんへの感謝の気持ちを込めて「御神前」や「初穂料」を奉納するのが礼儀だ。記者も地元の焼酎2本を差し入れた。
天岩戸神楽保存会の佐藤雄一会長(64)は「夜神楽はお金もかかるし体もきついが、自分たちの満足感を得るためにやっている」と話す。課題は後継者不足。そんな中今年、甲斐大誠くん(11)と巧人くん(10)兄弟が「初舞台」を踏んだ。1カ月に及ぶ猛特訓を経てデビューした大誠くんは「ポーズがうまく決まると気持ちよかった」と緊張気味に話し、「将来は指導者になりたい」と目を輝かせた。
パワースポットとしても近年注目を浴びる高千穂町。高千穂夜神楽は地域の人々の素朴な「村祭」だが、神を身近に感じられる日本人の心の源泉ともいえよう。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)