お弁当という文化が定着している日本では、素材も機能も多種多様のお弁当箱があります。そんな中、なぜ曲げわっぱは、ほとんど形や素材を変えることなく、愛され続けているのでしょうか。そこには、決して懐古主義ではない理由があります。
私自身も5年ほど前から曲げわっぱを使っていますが、ご飯をとてもおいしくいただけるのです。曲げわっぱの機能をひとことでいえば、「ご飯を冷ましながらおいしくする」こと。必要以上の水分を取ってコメの呼吸をととのえ、歯ごたえとコシを与えてくれます。スギの香りも食欲をそそります。また、スギには殺菌効果もありますから、ご飯が傷みにくく常温で一昼夜も痛まず持つほどです。
最初は見た目の美しさから使い始めたのですが、曲げわっぱのおかげで毎日の食生活が豊かになり、改めて伝統技術の奥深さを知りました。
また、柴田慶信商店の曲げわっぱで注目して欲しいのは、フタの微妙なアールや、ウロコのような模様の「とめ」の部分。機能だけでなく美しさをも探究するがゆえの一手間がみてとれます。