人手足りず、守備範囲広く
長時間労働、残業代未払い、労災隠し…。監督官の守備範囲は幅広い。しかし、多くの職場で問題となっているパワーハラスメントやセクハラは直ちに違法とはいえず、取り締まりの対象外。ブラック企業が若者を退職に追い込む手口の一つにしている執拗ないじめには、対応しきれないのが現状だ。
厚労省によると、監督官は全国に約3000人で、監督対象となる事業所は約430万に上る。2012年には約13万事業所を立ち入り調査。約9万事業所に是正勧告して約1100を送検したが、すべてをカバーするのは無理がある。
英国やドイツなどの欧州各国に比べると労働者当たりの監督官の数は見劣りするが、全体の公務員数が抑制される中、大幅な増員を見込むのは困難。田村憲久厚労相は17日の記者会見で「ブラック企業は許さない」としつつも、「(監督官の)大幅増は厚労省だけではやれない」と話した。
厚労省は今回、離職率の高さや過去の違反歴、労働者からの情報提供などを基に、調査対象の5111事業所をリストアップ。ただ、現役監督官の一人は「労働時間や賃金の違反は改善可能な場合も多い」として、是正勧告した事業所が必ずしもブラック企業とは言えないと指摘する。