約2時間半のツアーでは、現在も王室の公式行事に使われているステートアパートメント(公式諸間)のふかふかの絨毯の上を自由に歩いたり、ピカピカに磨き上げた食卓を触ったりと、日中の一般公開とは大違い。参加者の中には、ビクトリア朝デザインのアンティーク(のようにみえる)椅子やソファの座り心地を確かめる人までいたのには驚いた。
王宮はそもそも、ロンドンを囲む砦のひとつとして建てられたのが始まりだっただけに、歴代の王たちが居城として改築や増築を重ねた後も「要塞」の風格を保ち続けている。
100人強のツアー客を2班に分けて巡ったが、静まりかえった夜の王宮には大英帝国の栄華とともに、帝国の亡霊を感じさせるような独特の雰囲気が漂っていた。
現在の英王室は「ウィンザー朝」と呼ばれる。これはドイツの流れをくむ王室が、第一次世界大戦でドイツが敵国となったため、国民の反感を恐れて「ウィンザー城」にちなんで英国風の名前に改称したのが始まりだ。女王の祖父ジョージ5世(1865~1936年)の時代のことだ。