実はジョルダーナ監督は高校時代、主人公に据えたカラブレージ警視に会ったことがある。「私は学生運動で高校を占拠しました。その時に首謀者の一人である私を取り調べたのが彼です。彼は当時30歳。とても若かった。いつの間にかずいぶんと時がたってしまい、不思議な気持ちです。高校時代といえば、悩みのない楽しい時期であっていいはずですが、私の場合、血のにおいさえする闘争の時代だったといえますね」
事件はその後、何らかの陰謀が引き金となり、事件関係者の暗殺や復讐といった負の連鎖を生んだ。事件を知りすぎたとされるカラブレージ警視は、取調室にいなかったとの理由でピネッリ殺害のぬれぎぬを着せられたうえ、事件の2年後に極左グループに暗殺された。イタリアは事件を契機に長いテロの時代を迎える。公開中。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)