それでも、日本政府は交流事業の調整を進め、与野党も各党派遣や超党派議連の枠組みなどで予定通り訪中し、対話を続けてきた。特に公明党は、山口那津男(なつお)代表の訪中からわずか数日後にレーダー照射事案が起きたが、それでも若手議員による訪中団を派遣した。もともと中国とは深い縁(えにし)があるとはいえ、その辛抱強さは皮肉抜きで特筆に値する。
批判は筋違い
中国は首相の靖国参拝を重大な挑発行為と見なしたようだが、他のアジアの主だった国は冷静だ。シンガポールのストレーツ・タイムズ紙は「関係改善の見込みは少ないと見切ったためだ」と報じ、首相が靖国神社の春季・秋季例大祭や「終戦の日」の参拝を見送ってきたシグナルを、中国側は真摯(しんし)に受け止めず、判断をミスした結果だと分析している。