自転車ロードレースのオンシーズンは春から秋まで。屋外で開催されるロードレースは、寒くなるとオフシーズンになるが、逆にその寒い時期にだけ盛り上がる自転車競技もある。
1世紀以上も前に、ロードレース選手のオフトレーニングから始まったと言われる「シクロクロス」という競技で、オフロードや障害物が含まれる数キロのサーキットを規定時間内(男子で60分)で周回し、その順位を競うものだ。
フランスで生まれたと言われるシクロクロス。近年は競技のグローバル化が進み、世界選手権も開催されているが現在、シクロクロス競技の中心はベルギーにある。
トップ選手の大多数がベルギー人であり、クリスマスから年末年始にかけては、世界チャンピオンが出るようなトップレースがベルギーでは週5日も開催され、それらはすべてテレビで生中継されるほどの人気だ。そして熱心なファンは寒さにめげず、足繁くコースに通い、ビールを飲みながらひいきの選手に声援を送る。
≪悪天候、悪路…自然との闘い≫
競技の特徴は、オンロードもオフロードも、そして乗車不可能な階段や砂地といった人工的な障害物もコースに組み込まれているところ。選手たちの自転車は一見、オンロードを走るロードバイクのように見えるが、この競技のためにカスタマイズされた特別なものだ。