「演じるたびにお初の人生を生きてきた。4月は初演のときのような気持ちで、お初さんに感謝しながら演じたい」と話す藤十郎さん。初日を迎えるまでに、「お初天神」として知られる大阪・キタの露天(つゆのてん)神社にあるお初像に、報告に行く予定だという。(亀岡典子/SANKEI EXPRESS)
≪この世でない美しさ≫
■日本文学研究者で米コロンビア大名誉教授、ドナルド・キーンさん(91)の話 「初めて藤十郎さんの『曽根崎心中』を見たのは、1953年12月の京都・南座。私が日本に留学した年でした。歌舞伎の女形の中でもこの世のものでないような美しさで、自分の目を信じられないほどでした。その後、『曽根崎心中』は文楽でも復活上演され、現在の日本の伝統芸能に大きな影響を与えたと思います」
■曽根崎心中 1703(元禄16)年、実際に露天神社(大阪市北区)で起きた遊女のお初と醤油屋の手代の徳兵衛の心中事件を脚色し、近松門左衛門(1653~1724年)が人形浄瑠璃に書き下ろした。同年、大坂・竹本座で初演され人気を博したが、心中の流行を恐れた幕府は上演を禁止。1953(昭和28)年に歌舞伎で復活上演され、2年後には文楽でも上演されるようになった。