その点、犬ならごく自然にそれができます。人間たちが自分を放っておいて仕事の話をしている最中、押しよせる眠気をこらえて必死に耳をかたむける犬がいるでしょうか。どこの世界に、食べ物よりも事件の情報のほうに興味津々の犬がいるでしょう? そんな犬はいません! 眠たくなれば主人の足元でうとうとしだし、おいしそうなものが落ちていれば、注意は食べ物に向く。それが普通の犬です! 少なくとも、うちのまるは、ジャーキーを前にすれば、他のすべてがすっ飛びます。先代のガブリエルもそうでした。
伝えられない
人間と犬という、言語で意思の疎通ができない関係のもどかしさも、うまく話を進める要因になっています。たとえば序盤、車の中でバーニーの帰りを待つチェットに災難が降りかかります。ナイフを持った男に襲われるのです。チェットは抵抗して傷を負い、男は証拠品のナイフを排水溝の中に落として逃げ去るのですが、バーニーが駆け付けた際、チェットは一生懸命吠えて、こう訴えかけます。