「バーニー! 排水溝のなかを見てくれよ!」
これが伝わらない。読者はチェットと一緒にはがゆさにもだえ、この手がかりがいつバーニーにもたらされるのかと、さらに読み進めずにはいられなくなるのです。
シェルター、日本でいうところの保健所でしょうか。に入ってしまうという、犬ならではのピンチにも遭遇します。Xデーまで時間がない、チェットにはちゃんとバーニーという飼い主がいるのにどうなっちゃうの? というハラハラ感。鑑札を失い、ケージに入れられてしまった犬の無力さが、人間の相棒が敵の手に落ちてしまったときのハラハラとは、まったく別種のものにしています。
純粋な愛情と信頼
はるか昔、人間と犬は共存の道を選び、現在に至りました。人間同士の相棒関係もいいものですが、人間と犬-バーニーとチェットの関係には、特別なプラスが加わります。それは、バーニーに対するチェットの、純粋な「大好き」という気持ち。犬らしいストレートさで表現されるチェットの信頼と愛情、そしてバーニーがチェットにそそぐ愛情(離ればなれになっていた彼らが再会したときの喜びようときたら!)。