また、アフリカの中でもとりわけHIV(エイズウイルス)の感染率が高いマラウイでは、産前検診で必ずHIVの検査を受けなければならない。事実を知るのが怖いという理由で、医療施設へ行くことを拒む母親たちも少なくない。加えて、マラウイでは自宅出産を推奨している村もいまだ存在し、なかなか施設での分娩(ぶんべん)を促すことは難しい。
一方、地域の母親や妊産婦をもつ家族は、建設中の産科棟の完成をとても楽しみにしている。コミュニティーの人たちも、正しい知識を身に付けたいと積極的に話し合いに参加している。彼らは、決して新しい命をおろそかにしようとは思っておらず、みな生まれてくる命とその母親の健康を祈っているのだ。
よく話を聞くと、「お産に必要な知識を身に付けたかったが、その機会がなかった」「近所の施設には産科棟がなく、産科棟のある施設は遠すぎたが、近くにできたら利用できる」と言う。
こうして少しずつだが、母親やコミュニティーの人たちの行動には変化が起きている。